相場がランダムなのに勝てる人がいるのはなぜ?
もし、完全に市場がランダムであったら、事実上、運の要素以外で利益をあげることはできません。勝つ確率が半々になるので、トレードをすればするほど、その手数料分だけ損していくことになるので、やる価値がないことになります。
ですが、実際に利益を出している人、稼いでいる人がいる以上、ただの運試しゲームではないことが分かるでしょう。確かに相場はランダムではありますが、完全なランダムではないのです。「ランダムの中からほんの少しの可能性を探す」これは私が長年言っていることですが、実際、何十年にも渡って相場で稼ぎ続けている人は、相場のランダムな動きから、少しの可能性を見つけ、そこをトレードすることによって利益に出していると言えます。
では、そのほん少しの可能性はどこなのか。その中の一つをこれからお話していきます。
ミーン・リバージョン
ミーン・リバージョンとは、簡単に言うと、揺り戻しのことで、行き過ぎた相場が適切な水準に戻るときに利益を狙うという方法です。ミーン・リバージョンは先ほどお話した、効率的市場仮説の反証を示しています。要するに、市場がランダムだという仮説を覆すものです。投資の世界では言わずと知れた、ジェイコム株で一躍一世を風靡したあのBNFさんもこのミーン・リバージョンを使っていました。
いわゆる乖離率(適正水準からどのくらい離れているか)に基づいた投資法です。
ちなみにこの手法は、ヘッジファンドなどの投機筋もよく使っています。ヘッジファンドとは、投資哲学、トレーディングの規律が明確にされていて、多くの場合少人数かつ、プロフェッショナルの人たちで構成されている組織のことです。
従来の型にハマった手法ではなく、柔軟性があり、どんな相場にも臨機応変に対応ができるできる企業でいうとベンチャーのような組織です。
ミーン・リバージョンは、乖離率が高ければ高いほど、その後の戻しが大きくなりますが、逆張り的な発想なので、そのまま新たなトレンドを形成してしまった場合は機能しなくなります。従って、損切りラインは明確に決め、ストップ注文を入れない場合は注意して相場を観察していく必要があります。
ミーン・リバージョンを使った投資法は、人それぞれで、100人が使えば100通りの使い方があります。例えば、ブレイクアウトの手法を使っているといっても、人それぞれタイミングは違ってきます。時間軸によっても違いますし、複合的に見ているテクニカルによっても違ってきます。
ミーン・リバージョンを使った投資のタイミングも、どんなタイミングでどのような場所でエントリーするかは、乖離の幅、相場のボラティリティ、その他さまざまな要素によって変わってきますので、明確なポイントはお伝えできませんが、一方向に大きく動いた後の揺り戻しによる期待利益というのは必ず存在すると言えます。
また、このミーン・リバージョンは、ランダムに動くチャートの中に、たまたまトレンドのような形に見えるものがありますが、そこには期待利益はありません。ミーン・リバージョンが機能するのは、相場がはっきりとしたトレンドを形成した後の揺り戻しに限ります。トレンド紛いのトレンドの終息を見極めることは出来ないからです。
あくまでミーン・リバージョンが使えるタイミングは、ランダムではないトレンドに発生する「相場の行き過ぎ」なので、その辺に関しては注意して頂ければと思います。