具体的な目標より、良い目標を持てばいい選択が自然とできるようになる

具体的な目標より、良い目標を持てばいい選択が自然とできるようになる!

「ほどほどの期待」が実は最悪!!

私のところに相談に来たノルウェーの代表チームのスポーツ選手に、新しい目標を探す宿題を出したことがある。

その次のセッションに、彼はエネルギーと幸福にあふれ、満面の笑顔を浮かべて戻ってきた。「ベルトランドさん、僕は新しい目標を見つけましたよ!世界チャンピオンになることを目標にします。オリンピックで金メダルを獲得し、最高の選手として、歴史に名を残します!」そう早口で話した彼は、晴れやかに笑った。

明らかにわくわくした様子だった。今まで、そんな大それたことを考える勇気がなく、ほどほどのほどほどの期待しか持てなかった、と話してくれた。ダントツになりたければ、ほどほどの期待ではうまくいくわけがない。目標を探すという宿題について数日間考えただけで、さっそく彼の日常の選択に変化があらわれた。あらゆることで、数パーセントのクオリティの向上が成された。

そして半年後、彼は見事に世界選手権でメダルを獲得した。二年ほど前に相談に来た女性の話。会社の支店長である彼女は、「私には多くの目標があります」と打ち明けた。よい母親であり妻でありたい、健康に気遣いたい、いい仕事がしたい。最優先にしているのは、バランスが取れた人生を送ること。ただし、仕事についてやや単調で退屈に感じていると同時に、転職は望まず、今以上の仕事量も決定的な変化も望んでいなかった。

長年続けてきた仕事は、会社での時間に情熱を注ぐほどのやりがいを感じさせてはくれないようだった。数回のカウンセリングのあと、彼女は、それまでの目標を変えるのではなく、ひとつ目標を追加することに決めた。「社内で一番、感じがよく積極的な社員になること」だ。

彼女は人間的に成長することを希望したのだ。もともと、自分は支店長にしては少々控えめで内向的だと感じていた。業務はきちんとこなしていたが、対人関係の面で、もっと貢献できるのでは、と考えた。会社の幹部に会う機会が多いので、社内で一番感じがよくて積極的であれば、支店長という立場を利用して会社全体に影響を与えられるかもしれない、と気づいたのだ。

彼女は手始めに、親しい人たちに前向きで肯定的な言葉をかけるようにした。今では、以前よりもずっと外向的になり、社内の肯定的で楽観的な雰囲気や環境づくりに大いに貢献していると感じられるようになった。目標は、あなたの感情に触れて初めて効果を発揮する。

スポーツ選手であれビジネスマンであれ、目標を見つけ、朝起きてから夜寝るまで、継続的にそれについて考えていれば、やる気が刺激され、よりよい選択をする力が冴えてくる。よい目標さえ見つけてしまえば、正しい決定をするのが楽しくなる。

かつては面倒で仕方がなかったことが、「楽勝」になり、楽しくできるようになる。困難な出来事は、目標を達成するプロセスにはつきものなので、対処法を学ぶ必要がある。逆境のさなかは苦しくても、これですばらしいすばらしい目標に一歩近づいたと思えば、肯定的にとらえることができるだろう。もう一度言う。よい目標は常に具体的である。

「金持ちになる」という目標と、「一〇〇万ドルの価値のある人間になる」という目標には、大きな違いがある。目標が具体的であればあるほど、そこへ向かう計画が立てやすい。目標には「いつ」そこに到達するのかという期日も添えるべきだ。数百万ドルの富を築くためには、何が必要だろうか。もっと仕事で満足するには、どうすればいい?目標はできるだけ簡潔かつ具体的にすること。書面にするのが望ましい。

自分との契約のようなものだ。具体的な目標を持つことが、今の瞬間に集中することの妨げになると考える人もいるだろう。しかし、実際にはその逆である。具体的な目標は、普段の日やささいな瞬間が大きな価値を持っていることを教えてくれる。今している仕事が、目標達成を決定づけていると実感させてくれるのだ。

よい目標、つまり感情を揺さぶる目標を持っていれば、そのことを考えるたびに、自動的に正しい選択ができる。何のために戦うのかをはっきりと知っていれば、正しい選択が簡単に行えるようになる。「目標を設定する」というツールを一定期間使っているうちに、「私にはできる、ゴールに到達できる」という確信が強くなるはずだ。過去の絶好調を思い出すと、未来のヒントがもらえる目標を設定しようとするとき、さらに別のコツもある。

どんなときに楽しいと感じますか?

あなたの人生が絶好調だったときを振り返ってみるのだ。あらゆることが明るく、快適で、天国のように感じられたのは、人生のどの時期、どんな状況だっただろうか。多くの人が人生の絶頂期を経験しており、その内容をたずねると、はっきりと答えることができる。

・そのとき、あなたはひとりでしたか、それとも他の人と一緒でしたか?

・考えに考えた末に、複雑な数学問題を解くことができたことですか?

・何かについて評価を受け取りましたか?

・それは技術を習得したときですか?どんな技術ですか?

・時間が経つのを忘れるのは、どんな時ですか?

・どんなことをしていると、「おや、もうこんな時間だったか」と思うくらい集中できますか?

・我を忘れているのは、どんな時ですか?

・あなたが夢中で取り組めること、得意なことは?

・今いる場所に満足しているが、この場所でもっと幸せになれるはず、と考えていますか?

「万能の神様が一〇年後にどんな願いでも叶えてくれるとしたら、何をお願いしますか?」という質問も、頭のなかを整理するのに有効だ。

制限をかけずに目指す方向性を探ることが、本当の目標を定めるにあたっての、重要な手がかりになるからだ。あなたの答えが、大統領あるいは大企業のCEOになることなら、あなたの望みは、権力、指導力、人の上に立ち人を動かす地位。もしくは、他人とは違うインパクトのある人生を送ることかもしれない。最終的には、能力との兼ね合いで現実的な目標を定めることになるだろう。

しかし、最初の段階では、そのことを心配しすぎなくてもいい。「ちょっと手が届かない」と感じるぐらいが、よい目標だ。そういった目標は、達成したときに大きな充実感が得られるからだ。あるテニス選手が、「目標は世界トップ五〇入りです」と言った。しかしそれは、自分より上の選手を四九人も思い描くことである。

なぜわざわざ、四九人に負けるような目標を設定するのか?クロスカントリースキーで代表チームに入りたい、と言う代わりに、オリンピックの金メダリストになりたい、と言えばいい。ノルウェーのスポーツ選手の多くが、世界チャンピオンを目標にかかげて努力をしている。

スポーツ競技の世界では、野心あふれる図太い目標を持つことは、当たり前の慣習として確立されているのだ。メンタルトレーニングは、スポーツの世界で活用されて久しいが、ビジネス界では歴史が浅い。「世界一の社長になりたい」と宣言する経営者をめったに見かけないのは、これが理由かもしれない。

また、会社理念に「世界市場のリーダーになるために努力する」とかかげている会社もまれである。ここでふたたび、人生を俯瞰で見てみよう。誰かがすでに到達した領域に、自分が到達するためには、何をすればいいだろう?

ノルウェーのある有能な経営者が、小規模な仕事を処理するのも、大規模な仕事を処理するのも、多くの場合はかかる時間に大差がない、と話してくれたことがある。また、大きな利益と名声をもたらす大型プロジェクトが、小規模なものに比べて、必ずしも手ごわいわけではないとも語っていた。空挺学校の教官は、「何ひとつ不可能なことはない」と言った

このセンテンスを毎日欠かさず聞いていれば、直面する困難をまったく異なる思考回路で受け止められるようになる。よい目標にも、同じ効果がある。壮大な目標や、困難で大胆な目標を設定する勇気があれば、そのことが、困難に立ち向かうあなたの態度に影響を与えるだろう。